家のこと(新築)
2022.4.28. THU
健康とコスパを考えた家づくりで大切な4つのこと
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家族の健康とコスパを考えた家づくり
これまでの日本の家づくりは、いかに安く、いかに早く家を建てられるか…という点が重要視されてきたのですが、近年、その価値観が変わりつつあるのをご存知でしょうか。
「暑い・寒い・カビが生える」といった不快な住環境ではなく、「涼しい、暖かい、快適」な環境が求められているのです。
その証拠に、「高断熱高気密住宅」の家づくりが年々増加していますよね。
さらに、パッシブ設計や自然素材住宅など、家づくりにおける様々な“こだわり”も増えてきました。
このように家の性能を上げ、暮らしやすさを追求することは決して贅沢なことではありません。
家族の健康を守ることはもちろん、省エネ化にもつながります。
もっと言えば、健康が維持できることで医療費削減になり、省エネになることで地球環境を守ることにもなるでしょう。
ではどうしたら、そんな家づくりをすることができるのでしょうか?
今回は、健康とコスパを重要視した家づくりのポイントやその必要性について解説します。
健康とコスパを考えた家づくりはなぜ必要なの?
なぜ近年になって健康とコスパ重視の家づくりが注目されるようになったのでしょうか。
その必要性を知れば、家づくりの大切さが見えてくるはずですよ。
【理由①寒い家はヒートショックの危険があるから】
低気密、低断熱な家は、家の中での気温差が激しいので、ヒートショックが起こりやすいと考えられています。
ヒートショックは、血圧の急激な変化によって起こる脳疾患や心疾患のこと。
一般的な住宅では、浴室とトイレは家の北側に位置することが多く、冬場などは暖かいリビングから気温の低い浴室やトイレに移動することになりますよね。
人は、暖かい場所から寒い場所へ移動すると、体を温めようと血圧が急上昇します。
そして温かなお風呂に入ることで、今度は血圧が急降下します。この血圧の急激な上下により、脳梗塞や心筋梗塞が引き起こされてしまうのです。
このようなヒートショックで亡くなる人は、交通事故で亡くなる人よりもはるかに多いことがわかっています。
特に70代以上の高齢者に多いため、これから迎える高齢化社会の日本にとってはとても深刻な問題なのです。
ヒートショックが原因で脳梗塞や心筋梗塞が起きた場合、たとえ命が助かったとしても、その後の医療費や介護などの負担が大きくなってしまうことも考えられます。
人生100年時代と言われている今だからこそ、なるべく医療費や介護の負担を減らし、健康で長生きできる暮らしが望ましいですよね。
そういった意味でも、健康とコスパを考えた家づくりはとても大事なことなんです。
【理由②寒い家はアレルギー疾患を引き起こしやすいから】
寒い家による健康被害は、ヒートショックだけではありません。
冷えは万病のもとと言うように、アレルギー疾患や冷え症なども引き起こします。
断熱性の高い家に転居したのちに、鼻炎や乾燥による皮膚の痒みなどの症状が緩和された…という研究データもありますから、健康と住宅環境というのは密接な関係があると言えそうです。
【理由③冷暖房効率が悪くなるから】
気密性や断熱性が低いと、いくら暖房をつけても暖かい空気が逃げ、冷気が床を這うようになってしまうため、なかなか部屋全体を温めることができません。
すると、私たちはもっと暖房を効かせようと、温度設定や風量設定を変えますよね。
そうすればするほど、電気代が上がってしまうので、家計への大きな負担になるでしょう。
【理由④カビやダニが発生しやすくなるから】
断熱性や気密性の低い家だと、部屋と部屋の気温差が生じやすくなるため、壁や床の表面温度が低くなり、結露が発生しやすくなります。
結露は水分を多く含んでいるため、当然、カビが発生しやすくなりますよね。
寝室の窓、玄関ドアなど、ポタポタと雫が垂れるほど結露が発生しているお家も少なくないでしょう。
そしてこのカビが多く繁殖する環境というのは、カビを餌にするダニも繁殖しやすくなるので、いわば、カビ・ダニと共存するような環境になってしまうんです。
カビの胞子やダニのフンなどが浮遊する空気を吸って生活するわけですから、当然、健康面でも気になりますよね。
シックハウス症候群など、深刻な健康被害が現れてしまう危険もあります。
加えて、このようなカビ、ダニが発生しやすい湿気を帯びた家というのは、家の劣化を早めてしまうことにもつながりますから、耐久性という面でも適度な湿度、温度環境になる家づくりが必要なのです
健康とコスパを重視した家づくりの4つのポイント
これまでご紹介したように、私たちが住む家というのは、そこに住む人の健康と経済的負担を大きく左右します。
ではどうしたら、健康で経済的負担を極力抑えた家づくりをすることができるのでしょうか。
【ポイント①断熱性・気密性を高める】
まずは断熱性、気密性を高めた家づくりをすることが大切です。
カビやダニの発生を防ぐには、相対湿度を60%以下に保ち、なおかつ、健康面を考慮するのであれば、冬の室温を21℃以上に保てるようにするのがおすすめです。
具体的に言うと、
◎合板フローリングではなく無垢フローリングにする
◎アルミサッシではなく樹脂サッシにする
◎断熱材を隙間なく入れる
◎壁や床下、天井の気流止めをする
◎天井または屋根の断熱補強をおこなう
など、断熱性と気密性を高めれば、冷暖房効率も上がり、「暑い、寒い」といった不快さを解消することができるでしょう。
冷暖房効率が上がれば、電気代も節約でき、ランニングコストを下げることができます。
樹脂窓や無垢フローリングを取り入れると単純に建築費が高くなるイメージがありますが、長い目で見れば電気代の節約になるのです。
もちろん、暑さ寒さが解消されるので、様々な健康被害による医療費負担も削減されるはずですよ。
【ポイント②夏の日射遮蔽、冬の日射取得を考える】
断熱性と気密性だけでは、家の快適さを保つことは不十分です。
これに加え、夏の日射遮蔽、冬の日射取得を考えることが大切です。
なぜかというと、高断熱住宅にしただけでは冬は快適になるけれど、夏はもっと暑くなってしまうからです。
夏の直射日光というのはとても強いので屋根の表面や窓に当たっていると、60℃を超えるような温度になることもあります。
そしてその強烈な輻射熱が襲ってくるため、いわば真夏に電気ストーブやこたつにあたっているのと同じようなもの。
これではいくら冷房をつけても、なかなか冷えず、効率が悪くなってしまいますよね。
当然、冷房費も高くなってしまうでしょう。
これを防ぐには、夏の日射遮蔽について考えた家づくりにすることが大切です。
たとえば、
◎南面の窓には日射を遮る庇、アウターシェードを設置する
◎窓は断熱型の複層ガラスを使用する
などの対策が必須でしょう。
南面の角度によって日射遮蔽の方法を検討するのも1つです。
こうして、夏、冬どちらも快適に暮らせるよう、設計の段階から工夫することが大切です。
【ポイント③適切な冷暖房計画を行う】
家を建てた時、多くの人が、リビング、寝室、子供部屋、書斎…など、各部屋にエアコンを設置しますよね。それだけ数台ものエアコンを購入し、定期的に買い換えたら、本体費用だけでかなりの金額になってしまいます。
その上、それぞれの部屋の温度湿度を快適に保つため、24時間冷暖房をつけっぱなしにしたら、とても高額な冷暖房費がかかってしまいます。
それは、気密性断熱性の高い住宅でも同じこと。
というのも、各部屋でエアコンを稼働させてしまうと、いわゆる「トロトロ運転」になってしまうため、燃費ばかりが悪くなってしまうからです。
本体費用もかかるし電気代もかかるし…では、コスパが悪いですよね。
このコスパの悪さ、不快さを防ぐには、家全体を少ない台数のエアコンでまわすことが必要となります。
そのためには、家づくりの段階から冷暖房計画をしっかり行っておくことが必要です。
「暖かい空気は上に行く、冷たい空気は下に行く」という性質を生かし、夏用エアコンは小屋裏に、冬用エアコンは床下に設置するなど工夫するといいでしょう。
【ポイント④太陽光発電システムを取り入れる】
一般的な4人家族世帯の月々の電気料金は、年間14万円前後と言われています。(※)
しかし電気代は年々上昇傾向にあり、加えて地球温暖化の影響から夏の冷房利用時間も増えているため、電気使用量も増加傾向にありますよね。
つまり、将来的なことを考えたら、電気代は減るよりも「増える」と考えてほぼ間違いないでしょう。
だからこそ、少しでも電気代の負担を減らし、快適に暮らすためには、太陽光発電システムを取り入るのがおすすめ。
「電力を自給自足する」暮らしができれば、電力会社から買う電気量を抑えられ、家計の負担を減らすことができます。
「でも太陽光発電システムを設置するには高額な費用がかかるんじゃない?」と思いますよね。
実際、一般的な家庭で設置した場合、130~150万円ほどかかると言われていますから、初期費用の負担は大きくなってしまうでしょう。
しかし現在では、初期費用0円で導入できる「リース型」もあるので、導入時の負担を軽くすることが可能。
しかも、リース契約期間内であれば、破損時も自己負担なし、契約満了後はそのまま自分の所有物になるというメリットも。
電気代を気にして冷暖房を我慢する…なんて暮らしをしていた方は、太陽光発電システムを取り入れてみるのも1つかもしれませんね。
(※)参考資料:
総務省統計局HP「家計調査/世帯人員・世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」より
健康とコスパを考えた家づくりは暮らしやすさが◎
ただ漠然と「こんな家に住みたい」という理想の中に、暮らしやすさを求めて家づくりをするのは、とても大事なことですよね。
私たち無添加計画の家づくりでも、今回ご紹介したように、健康とコスパを考えた家づくりをご提案しています。
無垢材や漆喰など耐久性に富み、私たちの体に優しい素材を使うことで快適さもプラス。
人生100年と言われる今だからこそ、耐久性に劣る健康リスクの高い家を建てるよりも、性能を重視した家づくりをした方がこの先何年も安心して暮らすことができますよね。
今回ご紹介したようなことを参考に、家族の健康と将来のことを考えた家づくりをぜひ検討してください。
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