仕 様
家のこと(新築)
2021.12.07. TUE
地震対策の一つ「耐震等級3」の取得
NEW
耐震等級とは?
日本では大きな地震が頻繫に起こっているため、これから家を建てようとしている人にとっては、耐震性というのは、1つの大きな問題ですよね。
最近では、「耐震等級3の家が建つ!」などという言葉も聞かれますが、そもそも耐震等級とは一体どんなものなのでしょうか?
耐震等級とは、簡単に言うと、地震に対する建物の強度を示すもの。
建物の耐震性によって1~3までランク付けがされています。
耐震等級の数字が大きければ大きいほど、建物の耐震性が高いということです。
家を建てる際は、この「耐震等級」についても理解しておくと、安心度がグッと高まるかもしれませんね。
耐震等級1~3の違いとは?
では具体的に、耐震等級1~3には、どのような違いがあるのでしょうか?
以下で詳しくご紹介します。
耐震等級1とは
耐震等級1とは、建築基準法で定められた“最低限の耐震性能を満たしている”ことを示すもののこと。
数百年に1度発生するような震度6強~7程度の大地震が起きても、家が倒壊しないような強度を持つように構造計算されているということです。
しかし、ここで問題なのが”最低限の耐震性”という部分。
現在の日本の法律では、この耐震等級1の家でも法律上は問題ないとされていますが、本当に耐震等級1で、大きな地震に耐えうることはできるのか心配になりますよね。
なぜなら、それを上回る「耐震等級2」や「耐震等級3」の存在があるから。
耐震等級1で充分なのであれば、必要無いはずです。
では耐震等級1と2~3の違いは何があるのでしょう?
耐震等級2~3とは?耐震等級1との違い
耐震等級2は、耐震等級1で想定した1.25倍の強さの地震が来ても、家が倒壊しないような強度を持つよう構造計算されているということ。
耐震等級3は、耐震等級1で想定した1.5倍の強さの地震が来ても、家が倒壊しないような強度を持つよう構造計算されているということ。
つまり、基準となる耐震等級1と比べると、2~3は、より大きな地震にも耐えられるような強度を持っているということになります。
耐震等級3を取得する必要性
これまでご紹介したように、法律では耐震等級1のレベルで問題ないとされてはいますが、実際に耐震等級1の家が、大きな地震に耐えられたのか気になりますね。
2016年に起きた熊本「益城町」の大地震を例にみていきたいと思います。
熊本地震から見る耐震等級3の必要性
熊本地震で大きな話題となったのが、その揺れの大きさです。
最も大きな特徴としては、震度7の地震が、同じ場所で2度も起こったということ。
これは、観測史上初めてのことだったと言います。
つまり、そんな大きな揺れが繰り返し起こることを誰も想定していなかったのです。
この大地震のとき、最も被害が大きかった益城町という地域では、建築基準法で定められた耐震等級1の家が倒壊もしくは全壊でした。
そして、耐震等級2の家も同様に倒壊もしくは全壊していたと言います。
では、耐震等級3の家はどうだったのでしょうか?
実は耐震等級3の家のほとんどが無被害または軽微な被害で済んだのです。
このとき、初めて私たちは、基準である耐震等級1では、大切な家族の命や家という財産を守れないということを思い知らされたのです。
このことをきっかけに、耐震等級3を取得する家づくりの重要性が全国に広まるようになったと言われています。
参考資料:一般社団法人くまもと型住宅生産連合会より
耐震等級3の家を建てる重要性
これから先30年以内に大地震が起こる確率は、70%以上と言われています。
いつどこで起こるかわからない大地震に対し、私たちはしっかりと備えておかなければなりませんよね。
熊本の益城町のように、想定以上の大地震が繰り返し起こった時に、家族の命はもちろんですが、地震後の生活を守ることが重要なのです。
■耐震等級1=崩れたり傾いたりして住むことができなくなる→家も財産も失う
■耐震等級3=人命を守り、その後の生活を守ることができる→命も財産も守れる
この違いを知れば、自ずと耐震等級3の重要性を理解することができるでしょう。
耐震等級3の家に住む3つのメリット
耐震等級について理解を深めたところで、実際に耐震等級3の家に住むと、どんなメリットがあるのでしょうか。考えていきましょう。
メリット1.繰り返す大地震に耐えられる
熊本の地震で分かるように、耐震等級1~2では耐えられなかった地震においても、耐震等級3であれば大きな被害がなく済んだため、万が一に備え、耐震等級3の家を建てた方が、より安全ということが言えます。
家族の命や家、そこに住んでいた想い出というのものは、お金で買えないものです。耐震性を高め、それらを守るということは大切なことなのです。
メリット2.地震後も生活が続けられる
益城町の地震では、耐震等級3の家は、無被害または軽微な被害で済みました。
軽微な被害とは、たとえ被害があっても、多少の補修をすれば住み続けることが可能なレベルのことです。
地震によって家が傾いてしまったり、倒れてしまったりすれば、当然住み続けることができません。
しかし、建て直したり、大規模な補修したりするには多くの費用がかかります。
たとえ地震保険に加入していたとしても、これらを賄えるお金はおりないため、地震保険に加入していれば良いというわけではないのです。
(※万が一の際の保証は、保険金額の50%までです。)
つまり、家が倒壊して住めなくなるなど、精神的、経済的に大きなダメージを負ってしまわないよう、安全な家づくりをすることが必要というわけです。
メリット3.地震保険が安くなる
実は、耐震等級3を取得している家は、耐震等級1~2に比べて地震保険が大幅に安くなるというメリットがあります。
加入する保険にもよりますが、一般的に耐震等級3を取得した場合の割引率は、50%です。これも1つのメリットと考えるといいでしょう。
耐震等級3の家を建てる際の注意点
耐震等級3の家づくりの際は、以下の点に注意しましょう。
注意点①耐震等級3の家は建築費用がかかる
一般的に、耐震等級3の家は、耐震等級1の家に比べて、建築費用がかかるといわれています。
それはなぜかというと、耐力壁や筋交、金物などを多く使う必要があるから。
また、構造計算の費用や耐震等級を証明するのに必要な申請料もかかります。
ただし、初期費用がかかるものの、その分、安心安全を手にすることができるということを忘れないようにしましょう。
注意点②構造計算はしっかり行う
耐震等級3の家づくりであるから、大地震に強い!…とは言い切れません。
重要なのは、しっかりとした構造計算を行っているか?ということ。
構造計算は、大きく分けて以下の2つがあります。
◎壁量計算…壁にかかる力を計算し、何枚の壁が必要かを見る
◎許容応力度計算…柱や壁がどのくらい強いか?壁の配置バランスに問題ないか?を見る
一見、特に問題ないと思われがちですが、実は壁量計算だけでは、壁の量が基準を満たしていれば問題ないとされてしまうため、不十分なのです。
時間はかかるものの、しっかりと許容応力度計算を行うことが大切です。
耐震等級3の家で本当の安心安全な暮らしを!
地震大国日本に住むうえで、耐震性能というのは切っても切り離せない問題ですよね。
いつどこで起こるかわからない大地震。
日ごろの備えをすることだけでなく、家の耐震性能についてもしっかりとした知識を持つことが大切かもしれません。
私たち無添加計画の家づくりも、耐震等級3の取得を推奨しております。熊本地震の教訓から、耐震性能を高める重要性について理解を深める様になりました。
日々当たり前にある幸せな暮らしを守るために、本当の意味で「安心安全」な家づくりをしましょう。
COLUMN
他の記事も見る