家づくりにおける放射線検査の必要性

安全の見える化「放射線検査」

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原発事故。
当時の悲惨な状況をニュースなどで見て、「被ばく」や「放射線」という言葉に敏感になった方も多いのではないでしょうか。

実はこのとき、空気中に放出された放射性物質は、風に乗って福島県内だけでなく宮城県や関東1都6県、静岡県など至るところに拡散されたと言います。

拡散された放射線物質は、空気を汚染するだけでなく、土壌や水、農産物をはじめ、家を建てるのに使用する木材をも汚染してしまいます。
当然、放射性物質が吸着したコンクリートや木材などを使って家を建てれば、家自体が汚染されてしまうことになるのです。

ウイルスや菌などと一緒で、放射性物質というのは、目に見えないものですよね。
知らない間に空気と一緒に吸い続け、健康を害してしまった…なんてことにもなりかねません。
特に体の小さい子どもは、その影響を受けやすいと言われています。
赤ちゃんが生まれたことをきっかけに、新築を建てようとする方も非常に多いですから、放射線検査を行うことは、とても大切なことなのです。

放射線検査の仕方とは?

安全の見える化「放射線検査」

放射線検査には、ガイガーカウンターという専用の測定器を使用して行います。
今回は、私たち無添加計画で実施している放射線検査の方法についてご紹介しましょう。

放射線検査を行う場所やタイミング

測定のタイミングや場所は、基本的に以下のような流れで行います。
空間における放射線の量を測定するのはもちろんのこと、材木やコンクリートなど物質の表面も測定していきます。

~放射線検査の流れ~

《STEP1》土地…更地の状態で土壌を測定

《STEP2》基礎着工時…コンクリート打設前にコンクリート自体の表面を測定

《STEP3》上棟式を行う前…梁など可能な部分を測定

《STEP4》完成時…室内空間および、漆喰などの表面を測定

基準となる「空間線量率」とは?

安全の見える化「放射線検査」

空間線量とは、放射性物質から発せられる周辺環境の放射線量のことを指します。
対象となる空間の1時間あたりの放射線量を「空間線量率」として示し、現在では、以下のような基準値に定められています。

■1時間あたり:0.23マイクロシーベルト(μSv)

現在、放射性物質汚染対処特措法では、空間線量率が1時間当たり0.23マイクロシーベルト以上の地域を、汚染状況重点調査地域として指定しています。(測定位置は地上50cm~1m)

この数値は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルト(mSv/年)を、1時間当たりの放射線量に換算し、自然放射線量分を加えて算出したものです。
追加被ばく線量年間1ミリシーベルトは、1時間当たりに換算すると0.19 マイクロシーベルト(μSv/h)
※1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを想定しています。

放射線量率は、自然放射線(0.04マイクロシーベルト/h)と追加被ばく線量をあわせて測定するため、
0.19 (追加被ばく線量)+0.04 (自然放射線分)=毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)
という数値が算出されます。

万が一、測定後に放射線数値が基準値を上回る結果になった場合は、除染作業等を行い、放射線の量が基準値を下回るようにしなければなりません。

 

※参考資料:環境省HPより「放射線による被ばく

※参考資料:林野庁HPより「基準となる空間線量率について

放射性物質がもたらす人体への影響は?

安全の見える化「放射線検査」

基本的には、一度に100ミリシーベルト以上の多量な放射性物質を浴びないかぎりは、人体への影響はないと言われています。(※1)

というのも、人の体には修復機能が備わっているため、放射線の量が少なければほとんどの場合は修復されてしまうからです。
しかし、修復しきれないほどの大量の放射性物質を浴びた場合は、様々な体の不調が現れると言われています。

たとえば、1,000ミリシーベルトの放射性物質を浴びた場合、吐き気や脱力感などの症状が現れると言われています。
さらに多い、3,000~5,000ミリシーベルトの放射性物質を浴びた場合は、およそ50%の人が亡くなる可能性があると言われています。(※全身被ばくの場合)

ただし、放射性物質というのは、地球上にもともと存在するものです。
生きていれば少なからず多少の放射性物質を浴びているということ。

つまり、放射線測定を行った際にも、測定値がゼロになるということはありませんので、数値が表示されたからと言って、過剰に不安にならないようにしましょう。

 

※1.中部電力HP「放射線がもたらす人体への影響」より

数値の「見える化」でより安全な家づくりを

安全の見える化「放射線検査」

家づくりと放射線物質は、どんな関連があるのかな?と疑問に思った方もいるかもしれませんね。
しかし、今回ご紹介したように、家を建てる際に使用する建材が放射線物質によって汚染されていることもあるため、検査を行うことは決して無駄なことではないのです。

近年では、高気密高断熱な家づくりが増えていますから、気密性が高くなればそれだけ室内の空気がこもってしまいます。
放射性物質だけでなく、化学物質やウイルス・細菌など様々なものが室内の空気中に留まりやすくなってしまうのです。
専用の測定器を使用し、このような目に見えない物質も「可視化」することができれば、住まいがより安全になることでしょう。

私たち無添加計画では、少しでも不安を取り除くために、放射線検査やVOC検査を全棟で実施することを推奨しています。
外観や内装のデザインはもちろんですが、安心・安全・快適さすべてにこだわった家づくりを一緒に考えてみませんか?
本当に良い家づくりに興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。