家のこと(新築)
2023.8.22. TUE
家庭内事故を予防する子供にやさしい家づくりとは?3つの危険エリアを知って安心安全な暮らしを!

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子供の事故は自宅で起こることが多い!

家づくりは30~40代といった子育て世帯を中心に検討する方が多いので、子供も安心安全に暮らせる家について考える方もいますよね。
そこで知っておいて欲しいのが、意外と多い家庭内での事故。
上記の東京消防庁が公表している年齢層別の緊急搬送人員のデータを見ると、突出して多いのが70歳以上の高齢者ですが、同様に5歳以下の乳幼児も多いことが分かります。しかもこの多くが、住宅などの居住スペースで起きているのです。(※)
高齢者介護もそうですが、子育ても24時間ずっと見守り続けることはできませんよね。
万が一の事故を防ぐために、私たちができることは「暮らしやすい安全な家づくり」です。
そこで今回は、事故のリスクを極力排除した家づくりについて考えてみたいと思います。
子供の家庭内での事故を予防した家づくりということは高齢者にとっても「やさしい家」ということになりますから、ぜひ将来のことを見据えて検討してくださいね。
※東京消防庁「令和3年度-救急搬送データから見る日常生活事故の実態」より
家庭内の事故で多いのは「転倒」

消防庁のデータを見てみましょう。
左図は、東京消防庁が公表している日常生活における事故の実態調査結果(※)です。最も多いのが「転倒」、次いで多いのが「落下」。
これを家庭内に置き換えると、転倒・落下のリスクについて心配になる方もおおいですよね。
特に歩き始めの2歳前後の子どもがいる場合、転倒や落下によって命の危険があることも考えられます。
ではなぜ小さな子どもほど、このような転倒や落下のリスクが高いのでしょうか?
※東京消防庁「令和3年度-救急搬送データから見る日常生活事故の実態」より
【なぜ?家庭内での転倒・落下事故が多い原因】
家庭内で起こる事故の半数以上を占める「転倒」「落下」の事故。
なぜ小さな子供はこのような事故が多いのでしょうか?
それはまだ自分では『状況判断』ができないからです。
特に事故の多い5歳以下の子供というのは、歩き始め、視界が広がることで興味のあるものが増えますよね。
好奇心旺盛の子であれば、パパやママの真似をしたくなってキッチンやベランダ、階段などに立ち入ることもあるでしょう。
しかし、自分では「ここは危険な場所だ」「注意した方がよさそうだ」という判断が当然できません。
しかも、興味関心が強いほど周りが見えないため、段差や危険物の認識ができないまま突き進んでしまいます。
そのため、ちょっとした段差に落下したり、カーペットやコードに引っかかって転倒したりすることが増えてしまうんです。
もちろん、カーペットやコードであればすぐに転倒や滑り止め対策をすることができますが、すでにある「段差」等についてはリフォーム工事が必要になるでしょう。
ですから、家づくりの段階から安全性を考慮した設計にするのがおすすめなんです。
家庭内で気を付けたい危険エリアTOP3

子どもの家庭内での事故を防ぐために特に気を付けたい場所は以下のとおりです。
◎階段や玄関周り
◎リビング
◎ベランダやバルコニー
このほかにも、キッチンやバスルームもヤケドや切り傷など危険のある場所ですよね。
ではこれらを踏まえた上で、家づくりではどのような点に気を付けたらいいのか、次節より詳しくご紹介します。
今すぐできる対策はもちろんですが、家づくりの段階から間取りを工夫することで、小さな子どもの事故を予防し、暮らしやすい環境にすることができますよ。
階段はデザインよりも安全性を重視して!

近年人気の高いおしゃれなスケルトン階段。デザイン性が高く、けり込み板や側壁がないのでスッキリして見えるというメリットがありますよね。圧迫感がなく採光しやすいことからリビング階段にも適しており、吹き抜けのある家づくりに取り入れる方も多いと思います。
しかしこのスケルトン階段は、小さな子供がいる家庭では、誤って落下してしまうなど痛ましい事故が起こる可能性が高いんです。
上階から下の階を見ようとし、乗り出した際に手摺の隙間から落ちてしまったり、側壁がないことで思わぬところから落下してしまったりすることがあります。
ほかにも、段差と段差の隙間に子供の手足が挟まったり、隙間に足が引っかかってつまずいて転落したりすることも…。
安全性を確保しながらデザイン性も重視したい!そんなときは一体どうしたらいいでしょうか?ベビーゲートの設置と併せて検討してみてください。
【防護ネットやアクリル板やガラス板を設置する】
最も手軽に行えるのが、防護ネットの設置です。デザイン性はやや損なわれますが、取り外し可能で低コストで設置可能なため、手軽なのがメリット。
子供が大きくなったら外し、スケルトン階段のデザイン性を存分に楽しむことができるでしょう。
ほかにも、手摺~側壁部分にアクリル板やガラス板を設置するのもおすすめです。クリアなタイプであれば、スケルトン階段ならではの「開放感」を維持したまま安全性も確保することができますよ。
【階段に踊り場を設ける】
万が一落下した際の大事故を防ぐためにおすすめなのが、階段の途中に踊り場を設けることです。
ストレート階段と呼ばれる直角の階段の場合、落下した際に上の階から下の階まで転げ落ちてしまう危険があります。
しかし、U字やL字型のように階段の途中に踊り場を設ければ、落下も数段で済み、その分ケガの状態も軽く済むかもしれませんよね。
また、踏み板を滑りにくい素材にしたり、滑り止めを設置したりするのも事故防止には有効な方法ですよ。
【勾配を緩やかにすることも◎】
そもそも階段の形状を上り下りしやすいものにすることも、事故を予防する大事な要素です。
たとえば、
・勾配を緩やかにする
・上り下りしやすい段差にする
・奥行を広くする
・足元が見えやすいようライトを付ける
・手摺は最後まで設ける
など。
階段の寸法は、建築基準法により以下のような一定の基準が設けられており、これを満たさないといけません。
- 1段分の高さである蹴上:23cm以下
- 足を置く場所である踏面:15cm以上
- 階段と踊り場の幅:75cm以上
しかし、一概にこの建築基準法で定められた寸法が「上り下りしやすい」とは限らないんです。
特に小さな子どもや高齢者の住む家づくりでは、蹴上げの高さと踏み面の奥行きのバランスに気を付けなければなりません。
健康に問題ない大人であれば気にならないため、家づくりをする段階では不自由さを感じにくいかもしれませんが、将来的なことも考え検討することが望ましいでしょう。
リビングは段差に注意!間取りや家具の配置も考えよう

意外と多いのがリビングでの子どもの事故。
元気に走り回る幼児期の子供や、よちよち歩きの乳児期の子どもにとっては、ちょっとした段差に気が付かず転倒してしまうこともあるからです。
以下のポイントをふまえ、間取りや家具の配置を工夫し、子どもにとって安全な家づくりを目指しましょう。
【LDKは死角の少ない間取りにする】
ママが家事をするために動き回るLDK。子どもをリビングで遊ばせたりお昼寝させたりしている間に作業をする方も多いですよね。
しかし子どもというのは、ちょっと目を離した瞬間にケガをしたりいたずらをしたりするもの。この“ちょっと目を離した”…が思いもよらぬ事故になることもあるでしょう。
ですから、なるべく壁や間仕切りを設けず、死角の少ない間取りにするのがおすすめ!
視線の抜けをつくることで、家事や在宅ワークをしながら小さな子どもの様子をこまめに見ることができます。
死角の少ないLDKは、家族間のコミュニケーションもとりやすくなるので子どもが成長した後も使い勝手が良いと思いますよ!
【些細な段差よりバリアフリーがおすすめ】
空間のメリハリを持たせたいという理由から、部屋と部屋の間にちょっとした段差を設けることもありますよね。
ところがこの何気ない段差も、小さな子供や高齢者にとっては危険なもの。段差を認識できず、つまずいたり踏み外したりして転倒することもあるからです。
段差につまずいて転ぶリスクは、子供や高齢者だけではありません。
お腹の大きな妊婦さんにとっても大変危険です。
ですから、特に必要がなければバリアフリーな家づくりをするのがおすすめですよ!
最初から段差がなければ、老後、車椅子生活になったときにも暮らしやすく、そのときになってわざわざリフォーム工事をする必要がないので安心して長く暮らすことができますね。
また、小上がりの和室をつくる場合も小さな子どもが落下する危険があるため、あまり高さを出さないなど工夫をすることも必要です。
【ラグやカーペットは極力置かない】
足元が冷えるから…と、リビングの床にラグやカーペットを置くご家庭も多いですが、元気に走り回る子供がいると、滑って転んでしまうこともありますよね。姿勢が悪いと後頭部を打つなど、大きな事故につながることも考えられます。
ですから、子どもが走り回る動線には、なるべくラグやカーペットを置かないことも重要です。無垢フローリングなら、断熱性が高いため、寒い冬でも床が冷えることがなく、スリッパや靴下がなくても快適に過ごせます。もちろん、ラグやカーペットがなくても一年中快適!
ラグやカーペットがあると、ダニの発生のリスクも高くなるため、極力置かなくてもいい環境にすると楽ですよね。
どうしても…というときは、必ず滑り止めを付け、転倒やつまずきのリスクを抑えるようにしましょう。
【ソファの設置位置には気を付ける】
何気なく置かれたソファ。実はこれも子どものいる家庭にとっては、事故の原因になることもあります。
たとえば…
・窓際に置かれたソファによじ登り、窓から身を乗り出して外を見ていたら転落してしまった
・窓際に設置したベッドの上で遊んでいた子供が、網戸に寄りかかり、そのまま突き破って落下した
などです。
大人では考えつかないようなことも、子どもだからこそ起こります。
子どもが小さいうちは、窓際に踏み台となるソファやベッドなどを置かない、窓を開けた部屋に子どもだけで遊ばせない等の配慮をすることも忘れないようにしましょう。
ベランダやバルコニーは子供が侵入しない対策を!

家庭内での事故で多いのがベランダやバルコニーからの転落事故。
ちょっと目を離した隙に子どもが窓から出て転落してしまうニュースを、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。
このような痛ましい事故を防ぐには、小さな子どもが容易にベランダやバルコニーに侵入しないようにすることが大切です。
以下を参考に、事故を未然に防ぐための対策を講じておきましょう。
【足がかりになるものを置かない】
近年、「ベランピング」などバルコニーやベランダに屋外用のテーブルや椅子を置いて気分転換をする方も増えていますが、小さな子どものいる家庭の場合、これがとても危険なんです。
なぜなら屋外用の家具を足がかりにしてベランダの手摺に登り、身を乗り出して転落するケースは非常に多いからです。
同様に、ベランダの室外機も要注意。子どもにとっては良い踏み台になってしまいます。
手摺付近に設置しないよう注意しましょう。
【手摺の高さや隙間にも注意する】
家づくりの際は、手摺の高さや格子の間隔にも注意しましょう。手摺の高さが中途半端なものだと、足がかりになってしまうことがあります。
さらに格子の間隔が広いと、子どもがすり抜けて転落する危険も。できれば子どもの身長を考えて、高さは110~120cm以上のものを選びましょう。
また格子の間隔も、9~11cm以下のものを選び、体がスルッと抜けてしまうことがないよう気を付けたいですね。
不安な場合は、ネットなどを取り付けるのもおすすめですよ。
【窓上部に補助錠を設置する】
子どもが自ら窓を開け閉めし、ベランダやバルコニーに1人で出ていかないよう、窓に補助錠を設置するのもおすすめです。
一般的には、窓の下のサッシ部分に取り付けるものが多いですが、これだと子どもの手が届いてしまうため、開けられてしまう危険も。
最近では、子どもの手が届かない窓の上部に設置するタイプもあるので、心配な方はこのようなタイプを選ぶといいと思います。
補助錠は、子どもの安全を確保すると同時に防犯対策にもなるのでおすすめですよ!
子どもも高齢者も!誰もが暮らしやすい家づくりについて考えよう

今回ご紹介したのは、小さな子どものいる家庭で考えたい家庭内での事故とそれを予防するための家づくりについてですが、実はこれは子どものいる家庭だけでなく、高齢者のいる家庭にも言えること。
家づくりを始めるころは、まだ働き盛りで健康であるため、誰もがイメージしにくい未来かもしれません。
しかし、いつか必ず誰にでも訪れる未来でもありますね。
そんなときに、やっぱりバリアフリーにしておけば良かった…など後悔しないように、今から将来を見据えた家づくりについて検討してはいかがでしょうか?
私たち無添加計画が考える家づくりは、100年先の未来もずっと住みやすい家づくりです。
子どもも高齢者も家族みんなが安心安全に暮らせる家…。これなら、出産をして家族が増えても、両親と同居することになっても、きっと誰もが笑顔で快適に過ごせる家になります。
せっかく家づくりをするのなら、そんなことを考えながら、誰もが暮らしやすい環境について家族で話し合ってみてください。
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